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イジメ克服方法論ー僕が出会った「イジメられっ子タイプのオタッキー」系統だが、戦う男の話

★「イジメられっ子タイプのオタッキー

彼との出会いは大学の学生寮だった。

僕は大学生のとき、家賃がとんでもなく安いので学生寮に入っていた。部屋は備え付けの汚いベッド一つ・机一つ・物入れスペース一つでそれが2対あって、上級生との2人部屋。広さはたぶん4.5畳で、剥き出しのコンクリ床。

各階に部屋が15部屋くらいあって、嫌気がさしてすぐ出ていく学生が多かったけど、同じ階に20~25人くらいの大学1年生から留年を繰り返している8年生までが住んでいた。

「ラウンジ」という8畳くらいの畳敷きのテレビ付き共有部屋に暇な学生がたむろして過ごす空間があった。共同の汚い台所スペースもあり、共同の和式トイレもあり、風呂は4階建て2棟の学生すべての共同浴場、共同食堂スペース兼集会所や公衆電話も寮内にあった。


彼は、稀にいるタイプの一年中同じ服を着ている男で、下着は変えていたと思うが、黒い上下のジージャンジーパンを2着持っているのか1着で耐えていたのか知らないが、とにかくいつも黒一色の風貌だった。冬にはやはり黒色のダウンを一着だけ持っていて、いつもの恰好にそれを着て過ごしていた。髪はロン毛のややウエーブがかった自然なパーマでボサボサで痛んでおり、メガネをかけ、歯並びは悪く、自分から口を開くことはなく、いつもちょっと歪んだ姿勢で孤独を超然と無視して自然体で生きていた。

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ある朝、怒鳴り声が遠くの部屋から聞こえて、嬉しくなって見に行くと彼が同部屋の関西弁の大学3年生と殴りあいの喧嘩をしていた。面白かった。

喧嘩の原因はあとで分かったことだが、部屋のコンセント2個のうち、彼が音楽を聴いていたのに、上級生がテレビと掃除機とかで2個使いたくなって彼のラジカセのコンセントを抜いたことが原因だった。

僕はそんな変な彼が結構好きで、話しかけたり部屋に行ったりしてたまに暇をつぶしていた。怪しい男だけに部屋にはよく分からないアニメ女子のポスターやコンサートチケットやCDが置いてあった。彼の部屋に全巻そろっていた「炎の転校生」全12完はくだらないギャグがとても面白かった。

炎の転校生(1) (少年サンデーコミックス)


★「イジメられっ子タイプのオタッキー」のレトルトカレーを食べた

ある日のほのぼのとしたお昼に、食べるものがなくてあまりの空腹に飢え、食べ物を求めて台所を覗いてみると鍋でレトルトカレーが温められていた。僕はとてもお腹が空いていたので「ラッキー!」とそのレトルトカレーの封を開け、炊飯ジャーに入っていたご飯にかけて「ラウンジ」へ移動し、満足しながら全部食べた。

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すると突然溢れる怒りをみなぎらせながら、黒い上下服の男が、静かな声で「台所のカレーがないんだけど」と発声した。

「ラウンジ」には複数の寮仲間が集まっており、カレーを食べていた僕をチラリと見た。僕は「ごめん、腹減ってて食べちゃった」と彼に丁寧に謝罪した。

すると彼は、視線を素早く「ラウンジ」内に向け、床にあった5kgサイズの鉄アレイを一瞬で手に取り、「うううううーーーーー」と奇声を発しながら、僕の顔面めがけて殴りつけてきた。


僕は、嬉しくなって、その一撃をかわすと彼の首の後ろえりと手を掴んで床にブチ投げて、馬乗りになり、膝を首にぐいぐい押しつけて呼吸不能にさせ、彼の戦意が目から消えるまで静かに待った。

やがて、何十秒かが過ぎ、彼の目から闘志が消え、悲しい目に変わった。僕は膝を彼の首から外して「ごめんね」ともう一度丁寧に謝罪したが、彼は応えることなく部屋へと消えて行った。

僕は彼が好きだったので、翌日すぐにスーパーに行き思い切って奮発してレトルトカレーを3箱買って寮に戻った。そして、彼は留守だったので部屋に入ると、僕は彼の机に静かにレトルトカレー3箱を置いた。

やがて、数週間の日が経ち、彼はまた僕と話してくれるようになった。

彼は間違いなく戦士だった。僕は彼の精神性が好きだった。ああいうタイプはイジメに屈することはない。人間は強い弱いじゃない。戦う意志があるかないかだ。

僕は彼系統のタイプで戦う意志と精神力を持っている人間を彼しか見たことがない。彼の躊躇なく人の顔面を鉄アレイで殴ろうとした判断の速さなどはイジメられて暗闇の中にいる子供たちに再生動画で見せてあげたいくらいだ。

まあ、カレー食べた僕が悪いんだけど、鉄アレイで殴りかかる必要はないと思う…。

しかし、彼は僕の戦闘力を知っていながら戦いを挑み、素手での戦いを鼻から捨てて、鉄アレイで攻撃するという弱者なりの優れた迷いのない判断をしたのは凄いと思った。危うく頭蓋骨骨折させられるところだった。これがもし銃社会アメリカで彼が銃をもっていたら……

化学を専攻していた彼は、その手の薬品会社で研究職に就いたような気がするが、どんな30代後半を過ごしているのだろうか、彼は大学生時代における僕の記憶から消えることはない男だ。


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